インプット仮説

今でこそ、至るところで耳にする『インプット』という言葉。

 

日本の英語教育で使われている「インプット」は、もともとは言語学者のKrashen氏が提唱したインプット仮説から広まったと考えています。

 

いろいろな批判もあるものの、今でも言語習得では有名な仮説。

 

 

インプットの量

今は、「大量のインプットが大事」というメッセージが一人歩きしているような、そんな印象も受けます。

 

ひと昔前は『英語をシャワーのように浴びたら、ある日 突然英語が溢れ出す』と言う表現もよく目にしましたが、今は『インプット2000時間で英語を習得できる』という文句をよく目にします。

 

どちらも主張は一緒。

 

ある一定量のインプットを与え続ければ、英語を話し始める(聞き取れるようになる)という考え方。

 

でも、実はこの「2000時間」にはこれと言った根拠はないようです。

 

十分なインプット量の「目安くらいにはなる」程度に思っておいた方が安全かもしれません。

 

インプットの質

そもそもインプットって何なんでしょうか?

 

インプットは言語情報のようなもの、と考えると分かりやすいと思います。

 

でも、アウトプット(発話)に繋がるものでなければ 効果は上がりません。

 

言語習得でいうインプット理論で重要なのは主に3つと考えています。

 

  • 理解可能であること
  • 繰り返し与えられること
  • 学習者がインプットに気づくこと
 
難しすぎてもダメバツレッド
「気が向いたとき」、「毎回違う内容」ではダメバツレッド
 
「繰り返し」が大事で、特に大事なのが、
 
学習者がインプットに含まれる文法要素に気がつくこと。
 
気がつかなければ、インプットが情報として蓄積される可能性は低いということです。
 
だから、子どもの言語・認知レベルに合わない音源や動画をひたすら流し続けても、
 
英語漬けの環境を「一時的に」を与えても、
 
発話のきっかけになったり、モチベーションのアップになることはあっても、意味のあるインプットになるとは限らない、ということです。
 
インプット量も もちろん大事。
 
でもそれと同じか それ以上に大事なのが、インプットの質
 

その子に合ったインプットを

例えば、3歳のお子さんに与えるインプットで言うと…
 
  • その子が好きそうな内容か?
  • その子の年齢に適した内容か(言葉遣いや表現など)
  • その子とって難しすぎないか?(言葉や表現が難しすぎないか?)
  • 繰り返し耳(目)にするような、身近な内容か?
 
子どもの年齢、性格、言語レベル、生活環境...
などといった要素を考えて、インプットを考えて与えるが大切なのかなと思います。
 

参考文献

・Krashen, S.D. (1985) Input Hypothesis. Issues and Implications. New York: Longman.

・Ortega, L.(2009) Understanding Second Language Acquisition. London: Hodder Education.