3歳0ヶ月。
言葉の凸凹
大学院生のとき、多読でも知られるRichard R. Day氏の授業を取ったことがあったのですが、Day氏が言っていたことで、今でも強く記憶に残っている言葉があります。
- 言語には、突出している特徴(salient features)があり、学習者によって、その捉え方も習得順序も異なる
つまり、ある学習者とっては、下の文のように"-s"が(太字で書かれてあるかのように)突出して見えるけれど、そのように感じない学習者もいるということ。
- I like appleS.
複数形のSに気付き、すぐ習得してしまう人と、なかなか気が付かず習得するのに時間がかかる人がいるということです。その結果、リーディング(あるいは文法)の上達度も違ってくる、というお話でした。
Smileを観察していて感じますが、リスニングでも同じことが言えると思います。習得順序に関わらず、Smileにとって、響きが気に入ったもの、目立って聞こえるものは、比較的早く覚えてしまうと感じています。
下の発語もその例で、繰り返しインプットがあった訳ではないのに覚えてしまった表現です。
I wish I were...
先週のこと。オヤツを一緒に食べていたら、唐突にSmileがポツリ。
- Smile: I wish I were....(…だったらいいのに)
- わたし: You wish you were what?(何だったら良かったの?)
- Smile: I wish I were a magician! (マジシャンだったらいいのに!)
- わたし: You wish you were a magician?? Really?(マジシャンだったらいいのにな、なの?本当?)
- Smile: 《「えへへ」と笑い》 No.(ううん)
10日ほど前に読んだきりの絵本のフレーズだったので、びっくり。
"I wish〜"(〜だったら良かったのに)のような仮定法過去は、Smileには概念的に難しいと思っていたので覚えて使うとは思っていませんでした。
七夕のときに"What did you wish for?(何をお願いしたの?)と聞いたことで何となく意味を理解したのか、はたまた、分かってないけど響きが気に入り使ってみただけなのか…
I should've...
4、5日前のこと、"should've (should have + 過去分詞: 〜すべきだった)"という表現がSmileの口から出てきたので、これまたビックリ。
プリスクールの帰り、いつもはバスで寝てしまうのが、その日はバスの中で寝ずに絵本を読んだりお話していたSmile。
バス停から家まで歩いていたら、
- Smile: I should've sleep (slept) well.(寝ておくべきだった)
- わたし: You mean, you should've slept well on the bus?(バスで良く寝ておくべきだったってこと?)
- Smile: Yes, I should've slept well.(うん、良く寝ておくべきだった)
- わたし: You can rest when we get back home.(おうち帰ったら休めるよ)
- Smile: Yes, I wanna watch Disney channel in Japanse.(うん、ディズニーチャンネルを日本語で観たいの)
これも、意味を分かって使っていたのかは分かりませんが、何となく会話になっています。
何かのキッカケで起こる「気付き」
いずれの表現も、繰り返し会話に出てきた訳ではありませんが、Smileの中で「かっこいい」とか「使ってみよう」とか、他の表現よりも突出していたのかもしれません。
Smileのように、教えられなくても言語的な特徴に気付く(Noticing)場合もあるし、気付かせたい特徴のフォントを変えたり、字の色を変えるなどして、インプットを意図的に学習者に気付かせる場合もあります(Input Enhancement)。