言語習得理論でよく言われるのが、習得順序にはパターンがあり、多くの場合はこのパターンに沿って習得していくということです。Smileの言語成長を観察していても、大体このパターンに沿っています。
Developmental Sequences(発達順序)
つまり、三人称単数の-s、進行形の-ingなどの文法要素は段階を踏んで習得していくということです。そしてこの文法要素だったり、特定の表現の習得は、子どもの認知能力の発達とも大きく関わっていると言われています。例えばSmileのように、"in the morning"や"two years ago"などの表現を使っていても、概念的に理解はしていないため、習得しているとは言えません。認知能力的に習得段階に達していないからです。
文法要素の発達順序
下が、Grammatical morphemes(文法的に意味を持つ最小の単位)の発達順序です。
(Lightbown, P.M. & Spada, N. (2000) How Languages are Learned. New York: Oxford Press)
- 現在進行形 -ing(Mommy running)
- 複数形 -s(two books)
- 過去形の不規則変化(Baby went)
- 所有格 's(Daddy's hat)
- 連結動詞(Annie is a nice girl)
- 冠詞 the/a
- 過去形の規則変化 -ed(She walked)
- 三人称単数 -s(She runs)
- 助動詞(He is coming)
ただ、チャンク(かたまり)で決まり文句のように使う場合もあるため、特定の文法要素を使えていたとしても、必ずしもそれを習得しているとは限りません。
娘も、"That's mine."という表現を2歳0ヶ月で使っていましたが、"That is mine."というように、連結動詞のbeを習得していた可能性は低く、"That's"を一語として認識したように思います。
発達の順序から考えられること
皆んながこのパターンに沿って同じ速度で習得するという訳ではないですが、 「9. 助動詞」を習得した子どもは、高い確立で「1. 現在進行形」を習得していると、研究で結果が出ているそうです。
そして興味深いことに、その逆は当てはまらないそうです。つまり、「1. 現在進行形」を習得した子どもが「9. 助動詞」を習得しているということはないそうです。
これは英語を第一言語として習得していった場合の順序ですが、第二言語として英語を学習した場合もある程度は同じような順序をたどるそうです。
家庭で英語を取り入れている場合は、どんな文法要素が子供にとって「習得しやすいのか」という点で知識があれば、 「また間違えてる」とか「なんで使えるようにならないんだろう」とか心配になることもないのかなと思います。
参考文献
・Lightbown, P.M. & Spada, N. (2000) How Languages are Learned. New York: Oxford Press